制作にあたり、まずRibet townsメンバーの皆さまと一緒に大まかなプロット(物語の筋)と展開、絵のテイストなどを決定しました。初回打ち合わせでかなり詳細な部分までオーダーを頂いていたので、それをもとに約300カットのテストリールを作成。数箇所の修正を加えたのち、本制作に入りました。
テストリールと最終のアニメーションを並べたもの。
アニメーションはアナログとデジタル両方の技術を使用し制作。白黒の線描画にコンピュータ上で着彩を行い、さらにテクスチャを加えて一枚ずつ画面を作ります。今回は1秒につき10コマのアニメーションなので、コマの総数は約2200枚。人物などの動きは全て手描きのイラストをスキャンしたものをつないでいるので、デジタルな画像の連続でありながら、アナログならではのブレや揺らぎがあります。テストリールで決定したカット割りの上に、本制作中に生まれたアイディアを加えて、慎重に作業を進めていきました。
本作を鑑賞するうえで、「楽曲との深いシンクロ感」は作者としておすすめしたいポイント。歌詞や曲調といった分かりやすい要素はもちろんのこと、そこから一歩踏み込んで、各楽器の音が持つ質量や質感を意識して絵の動きを作りました。こうした場面で、自分が音楽活動をしていることが少なからず生かせたのではと思います。
1: テストリールでの画面レイアウト
2: 手描きで制作した背景のパーツとキャラクター
3: デジタルに変換して着色
4: 絵具で塗った素材を背景に重ねる
5: これらを組み合わせて最終版の画面が完成
そしてようやく、全編のアニメーションが完成。念入りに作品全体の起伏をチェックしたあと、違和感なくそれぞれのシーンを活かすため、色調整を行いました。
各カットを修正版に差し替えたのち、最後にシーンの切り替えポイントの微調整。こうした種々の行程を経て、「メトロ」のミュージックビデオが完成しました。
この他にもRibet townsのEP「ショートショート」に収められている他の楽曲の歌詞からキャラクターが登場するなど、心躍る大小の仕掛けがたくさん用意された作品に仕上がっているので、ぜひ繰り返しご覧になってお楽しみください。